「風船」

あるテレビ番組で
木にひっかかった風船を
取ろうとしている子どもがいたとして
通りすがりの人はどんな反応をするか
いろんな国で実験していた
 
するとある国で
黒人の人が木を揺らしただけで
風船は土に落ちてきた
男の人はなんてことなしに言った
「物は地面に落ちて来るだろ?」
その国にはヘリウムガスがなく
風船は空へ飛んでいかないそうだ
 
重さがあれば
風船くらいの重さでも
落ちて来るんだ
 
心にも重力はあって
その重たい気分があれば
そんなに落ち込むのも
当たり前なんだよ
 
でも重力は必要なもの
だからきっとあなたが落ち込むのは
必然で必要なんだ
その重力が
あなたを立たせ歩かせる
 
エネルギーを
溜めるように
心を休ませてあげれば
風船は少しずつ膨らんで
また自然と

風に乗るだろう


(c) Mari Awaya

 
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「あなたとまた逢えるように」

灯台の明かりより
星の光りよりも
確かな
目印がほしい
 
それが目印だと
忘れない
魂がほしい


(c)Mari Awaya
詩画集「あわやまりのひとしずく」より
*2016年3月に津布楽杏里さんの作曲により、
 合唱曲として埼玉県立蕨高校音楽部のみなさんに歌っていただきました。
 http://mari.awanomori.net/?eid=306​
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「山の上で」

霧の中に立っていると思っていました
そこへ風がふいて
霧をごっそり連れていきました
私から離れたそれは
霧ではなく雲でした

私が霧の中だと思っていたところは
実は雲の中でした

同じようにして
今私がいるここは
霧の中だか雲の中だか分かりませんが
うすくぼやけています
といっても風がふけば
霧でも雲でも流れていくのだし
そこはいつも太陽と青空があるのです

そのことは
いつのときも
きっと覚えておいて

(c) Mari Awaya 
手製本「日々のしずく」より
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「ラッキーバス」

ちっぽけな常識にとらわれた
ちっぽけな悩みを
背中いっぱいにしょって
夕方の駅に辿り着いた
小銭しか入っていないお財布で
今できる一番の贅沢
たこやきを一箱買った
 
けれどもふと見ると
私の小さな幸せ
今日はラッキーバスが
ロータリーに停まっていた
 
やったやった
駆け足でバスに向かう
このバスの存在を
皆はあまり知らないようで
たいていいつも中はがらがら
しかもラッキーバスなのに
料金は他のと同じで二百十円
 
ラッキーバスは
ロータリーを後にして
人込みを抜けて山へと向かう
沈みかけた太陽を
追い掛けて追い掛けて
追い付いた所で見えたのは
たった一つの太陽が見せる
たった一回きりのさよならショー
濃い淡い青色と薄い水色
それに黄色の強いオレンジが
きれいに合わさった演出に
私の小さくちっぽけになりかけていた心は
少しだけ膨らんだ
 
世界はとても広いと言う事を
ちっぽけな私をつくり出したのは
ちっぽけな私の価値観だったと言う事を
身を以て知ったあの日々の事を
ひざの上にたこやきの温かさを感じながら
ほんの少し思い出せたよ
 
ラッキーバスは急な坂を上りきって
最後の乗客とまだ温かいたこやき一箱を
静かに降ろして夜の中に消えて行った


(c) Mari Awaya

 
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「春のワンピース」

花柄の
ワンピース
着たら似合うかな
ワンケース
ちいさな箱の中にいる
ワンピース
ひとりでいたくない
そう
外へ出て行こう
誰かに、会おう


(c) Mari Awaya 2015
*秋美Vol.27より
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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