「梅雨の居酒屋にて」

夏の前に梅雨があることを忘れていた
わたしがそう言うと テルオくんは
一点をしばらく見つめてからこう言った

そうそう
季節と言えば
ここでウーロン茶をゴクリ
世界最後の季節は何だと思う?
わたしはすぐに
春でしょうね と言った
するとテルオくんは
そうかあ 春かぁ
と言ってまたゴクリ

今度はわたしがテルオくんに
テルオくんは何だと思うの
と聞くと
僕はね 夏だと思うんだ
と答えた

でもさ ゴクリ と続ける
世界が全部春な時って ないよね
まあ そうだね
今は ここは梅雨だけど
何処かの国はずっと夏だし
別の何処かの国は今は秋だし

じゃあさ ゴクリ
今世界は成長と退化だったら
どっちだと思う?
うん むつかしい
僕はね きっと退化だと思う
そうかなぁ
これも ある意味ではね

別にどうでもいいんだけど
ゴクリゴクリ
僕も絶対死ぬし
世界もいつか終わってしまうし

でもさ とりあえず
今度の夏が世界最後の季節に
ならないといいなって 思うんだ

そう言ってテルオくんは
ウーロン茶を飲み干して
すいません 温かい緑茶ください
と手をあげた


(c) Mari Awaya 2003
「ビー玉を通った光り」「テルオくんとわたし」より
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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