「抹茶ソフトあんみつ」

全然わかっていなかった

とわたしが言うと

 

何が?

とテルオくん

 

だからね

たとえば人の話を聞いていて

本当に真剣に聞いて

理解しようと思って

わかったと思うの

でも実際同じようなことが

自分におきてみて

はじめて

わかったって思ったの

ああ、わかってなかったんだって

 

テルオくんはクリームあんみつの

ソフトクリームを食べながら聞いている

 

あとね

人のことを

ちょっと会っただけで

ううん、前からの知り合いであっても

なんとなくわかったように思っちゃう

でも本当は

その人のほんのちょっとしか

わかっていないんだって

わかったの

 

わたしの抹茶ソフトあんみつは

汗を流しはじめた

するとテルオくんは

 

僕なんてさ

じぶんのこと

どれくらいわかっているか

それすら わかんないよ

みんなそうなんじゃない

 

わたしはやっと

抹茶ソフトを二口食べる

 

そうかなぁ

と落ち込むわたしに

 

わかっていなかった

ってわかったことがすごいと思うけど

たいていそんなこと気にしないでしょ

まあ、溶けちゃうから食べたら

とテルオくん

 

そうかなあ

そうなのかな

なんか今日はアイスって気分じゃなかった

普通のにしとけばよかったなぁ

とわたしが言うと

 

やった、じゃあ抹茶ちょうだい

とテルオくんはわたしのお皿を

自分の方へ持っていった

 

あれ、抹茶嫌いじゃないの?

と聞くと

 

そんなことないよ

あ、ほらね

きみはまだ僕のことを

わかっていない

にしし、と笑った

 

(c) Mari Awaya 

私家版「テルオくんとわたし」より

*ちょっとなつかしい詩をupしました。

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「片割れ」

いろんなものを日々

なくしながら生きている

なくしたと気づくものもあれば

なくしたことさえ

分からずにいるものもある

 

一昨日イヤリングを片方落とした

とても気に入っているものだったので

使った電車の沿線にある遺失物窓口に行ってみた

イヤリングの特徴を細かく伝えると

男性の職員さんは

ちょっとお待ちくださいと言って奥へ消えた

待つこと10分            

男性はプリントアウトした紙を5、6枚持って来た

 

それはこの3日間に

東京の地下鉄で落とされた

迷子のイヤリング97個の記録だった

 

誰かが

買ったばかりでうきうきと

あるいはいつものように

自分の一部として身につけ

きっと右と左が対で

そのどちらかがここに記されている

 

イヤリングたちは

暗い保管室の中でささやき合う

キラキラ ピキピキ

迎えに来てくれるかしら 

ピカピカ ティラティラ

もう一度会えるかしら 

 

けれど私は

そのリストから自分のイヤリングを

見つけることは出来なかった

そこには色と素材が書かれているくらいで

自分のものだとは特定出来なかったのだ

 

そのものを見たら

すぐに分かるのに

 

きっと出逢えたら

すぐに分かるのに

 

なくしたことを忘れて

求め探しているのかもしれない

この入り組んだ地下鉄のような迷路で

 

 

(c) Mari Awaya 2017

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「そうっと」

この星の

最後の方で

人間、って言うものが

登場したのは

 

自然の力だけではなく

人間しか持たない

想像力や

思考で

どんな風に

この星が変わるか

どんな世界が

創造されるか

見て見たかったんじゃ

ないだろうか

 

誰か知らないけど

誰かが

 

 

(c) Mari Awaya

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「つぼみ」

暑い中に咲くような

たくましい花じゃないけれど

小さな炎のように

私の中に生まれたつぼみ

 

まぶたにうかぶあなた

ねえ、こっちを向いて

花を咲かせて

 

8gatu2

 

ハイビスカスの花言葉は、

「繊細な美」「新しい恋」です。

 

(c) Mari Awaya 2017 (c) Yuri Urabe 2017

 

 

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「特別な日」

いつもツンとしていて

トゲのあることばかり

言っているきみが

優しく可憐な花を

心に隠しているのを

知った

今日

 

saboten120

 

(c) Mari Awaya 2017

*サボテンの花、はじめて見ました。

 

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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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