「ぼんやりゾーン」

テルオくんが連絡もなしに
三十分待ち合わせに遅れてきた

でもトコトコと歩いてやってきて

やあごめん
うっかり「ぼんやりゾーン」に座っちゃって
と言う

「ぼんやりゾーン」って最近できた電車の?
あれどうなるの、座ると

テルオくんはポリッと頭をかいて

僕さ、ぼんやりするのなんて
どこでもできるからって
ちょっとバカにしてたんだよね
でも気がついたらそこに座っちゃってて
で我に返ったら終点だったの
バカにできないね
「ぼんやりゾーン」

へえ
なにが違うの、他の席と

いやあ、よくわかんないなあ
ほら、ぼんやりしてたから
今度座ってみなよ
わかるから

ふうん
じゃ、行こうか
とわたしが言って
駅の北口にあるカフェに向かう
歩きながら

しかし

とテルオくんは締めくくった

人生にはぼんやりするときが
たまには
ひつようだね

(c) Mari Awaya 2009
手製本「テルオくんとわたし」より
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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