「平日のオムライス屋」

本物か偽物か
はっきりさせたい
とわたしが言うとテルオくんは
へぇ、そうなんだ
とオムライスを口に入れてから言った

本物だと、どうなるわけ?
と言うので
本物だったら
胸張ってがんばって
生きていかれる
と答える

じゃ、偽物だったら?
そしたら
それでもがんばって
生きていかなきゃ

じゃあ別にはっきりさせなくても
いいんじゃない
それに
誰が決めるの
本物と偽物

どっかにいる誰か
本物がわかる人

それが誰か知ってるの?

知らないよ

じゃあ
はっきりさせようがないじゃない
ははは
とテルオくんは笑う

そうなんだけど

どっちでもさ
本物でも偽物でも
自分が思ったように
がんばって生きてれば
いいんじゃないの
仮にもしも
そういう判別があるとしても
もっと後から
ついてくるものかもしれないよ

わたしはオムライスの中にあるチーズを
フォークでのばしながら
そうなんだけどさ
とため息をつく

大丈夫
違う角度からみたら
みんな本物なんだから
そう信じてないと
生きていかれないんだから
ははは
とテルオくんは笑った

そして
でも僕はもし偽物でも
胸張って生きていくよ
と言って
もりもりサラダを食べた

(c) Mari Awaya 2008
手製本「あわやまりのひとしずく」「テルオくんとわたし」より

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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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