「冷たい雨の夜」

[目の回りが黒い犬]

昨日の雨は本当に冷たい雨だった
私は夜の散歩から帰る途中で
家の前の坂を上っていた
すると後ろから
何か聞こえた気がして振り返った
振り返ってもなんにもいない
あるのはいつもより暗い感じの道
 
その場に佇んで静かに息をこらすと
ほんのかすかな気配を感じた
横を向くと雨に濡れた工事現場があった
そこにブルドーザーが一台
 
私はブルドーザーをじっと見つめた
雨の音だけが聞こえる
冷たい風が吹いた
 
主人が震えて大袈裟に寒そうな声を出した
そろそろ歩き出すのかと思った
そこで目をそらした瞬間に
雨に消えてしまうくらいの小さな声で
疲れた
と一言
ブルドーザーは言った
 
ブルドーザーを見つめたけれど
後にはもう何も言わなかった

犬

(c) Mari Awaya 
風が運んだ話たち、より
もう少しで最終回。

 
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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