「切ないはんぺん」

電車の中で席を譲った
どうぞ どうぞ
私あんまり疲れていませんから
 
友人に好きな人を譲った
どうぞ どうぞ
私そんなに好きになっていませんから
 
渋谷の飲み屋さんに行って
今日のお勧めの
「切ないはんぺん」を頼む
 
おまたせしました
 
どうぞ どうぞ
みんな食べて
「切ないはんぺん」なんて
私はいらない
みんなは笑って
楽しそうにはんぺんを食べる
多分きっとこの中で
「切ないはんぺん」を
心から笑って食べられないのは
私だけ
 
譲ったというのは
私に対する言い訳で
泣く泣く譲るほど
そして笑って譲るにも
その人は私のものでもなんでもなかった
 
仕方のないこと
自分がいけないこと
でも、どうにもできないこと
いや、しなかったこと
 
私は「切ないはんぺん」を
精いっぱい空笑いしながら食べる
カラカラカラカラ
おいしいね
カラカラカラカラ
このはんぺん


(c) Mari Awaya
手製本「氷のラブレター」、私家版「あなたに好き、と言う以外は」

http://mari.awanomori.net/?eid=172
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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