風が運んだ話たち。

このシリーズは、2003年〜2004年に制作したものです。

更新しているときに、「ちょっと文体が違うね」などとご意見をいただきましたが、
なるべく当時書いたままを載せました。
今読むと、こんなこと考えていたなあ、と思ったり、
写真も自分のカメラやトイカメラで撮影したもので、
懐かしいものも色々ありました。

ひとまずこのシリーズはおしまいです。
読んでくださってありがとうございました。

今後も、ブログ更新していきますので、
どうぞよろしくお願いいたします☆
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「四角いカード」

[喫茶店のコーヒーカップ]

ここには、はじめましての人たちがよく来る。初めて会うのに、ここで待ち合わせをするみたい。
そこで僕、いつもいいなあと思うのが四角いカード。多くの人はそのカードを持っていてね、初めて会った人に渡すんだ。僕はあれ、その人の「取扱い説明書」なんだろうと思っているんだ。
 
この人は高いところが弱いですから気をつけて下さい
とか
機嫌が悪い時には話し掛けずにほっておいて下さい
とか
家族の話はしないで下さい
とか
 
もっと違う風に書いてあるかもしれないけど。
でも僕もほしいなあ、四角いカード。僕のにはね、こう書くよ。
 
熱いものには強いです
堅いものにいきなりぶつかると弱いです

コーヒー

(c) Mari Awaya
風が運んだ話たち、より

 
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「散りゆく葉っぱ」

[並木通りの葉っぱが散った木]

人は葉っぱが散っている光景に
物悲しさとか終わりだとかを
感じているようですね
 
けれども葉っぱは意外と
散るのを楽しみにしているものです
一生一大のフライトですから
どんな感じで散れるのか
楽しみで楽しみで
自分でゆらゆら揺れすぎて
散ってしまう葉っぱもいるくらい

木

(c) Mari Awaya
風が運んだ話たち、より

 
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「売れ筋商品」

[文房具屋の外の看板]

今一番売れているのは、失恋ボードです。
これはうちのおかみさんが開発した商品で、大中小の三種類があります。
今日も中一つと小五つが売れましたが、大はなかなか売れません。大は飛び抜けて値段が高いので、おじさんが、
「もっと安くしたら売れるんじゃないかい」
と言うと、おかみさんは一瞥して、
「それじゃまったくもって意味がないのよ」
と言っていました。



(c) Mari Awaya

風が運んだ話たち、より
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「冷たい雨の夜」

[目の回りが黒い犬]

昨日の雨は本当に冷たい雨だった
私は夜の散歩から帰る途中で
家の前の坂を上っていた
すると後ろから
何か聞こえた気がして振り返った
振り返ってもなんにもいない
あるのはいつもより暗い感じの道
 
その場に佇んで静かに息をこらすと
ほんのかすかな気配を感じた
横を向くと雨に濡れた工事現場があった
そこにブルドーザーが一台
 
私はブルドーザーをじっと見つめた
雨の音だけが聞こえる
冷たい風が吹いた
 
主人が震えて大袈裟に寒そうな声を出した
そろそろ歩き出すのかと思った
そこで目をそらした瞬間に
雨に消えてしまうくらいの小さな声で
疲れた
と一言
ブルドーザーは言った
 
ブルドーザーを見つめたけれど
後にはもう何も言わなかった

犬

(c) Mari Awaya 
風が運んだ話たち、より
もう少しで最終回。

 
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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