「いつもの電車」

確実に

わたしたちを

帰るべきところへ

運んでくれる

 

いつもと同じように揺れて

のどを

ぐーごろごろ

とならしながら

 

涙が今にもあふれそうでも

もうちょっと

もうちょっとで

着くからね

ぐーごろごろ

ぐーごろごろ

ぼくの中で

泣いてもいいけどね

ぎゅいんぎぃゆうー

わたしを運んでいく

あたたかな家の方まで

 

(c)Mari Awaya 2016

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「サビシイムシ」

秋の虫が
リンリン
ミーミー
鳴いている

私の中で
サビシイムシが
音をたてずに
鳴いている

ああ これから
寒くなるんだなぁ
私は心をあったかく
冬支度しなくちゃなぁ


(c) Mari Awaya
私家版詩集「ぽちぽち、晴れ」より
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「今、言うよ」

口に出して言えた
ありがとうが
いくつあったら
今がどれだけ違うかなんて
 
素直に言えた
ごめんねが
いくつあったら
今が変わっていたかなんて
 
今思っても
もう
どうしようもないけれど
 
素直に言えなかった
言葉の後に
続けて

今、言うよ


(c) Mari Awaya
私家版詩集「あの星から見える、うちの明かり」より
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「おじぎ草」

友人がくれたおじぎ草をベランダに置いた
手作りの小さい器に植わっていて
なんともかわいい
撫でてやる度
しゃわしゃわ しゃわ
といって葉を閉じてしまうのもかわいい
 
ところが
夏の終わりに近づいても
おじぎ草は大きくなり続けた
あと少ししか大きくならない
と聞いていたので驚いた
大きな鉢に移しかえても
撫でてやると従順に
しゃわしゃわ しゃわ
と大きな葉を閉じる
 
そのうちに
朝起きて撫でてやると一緒に
しゃわしゃわ しゃわ
と閉じられる葉の中に入ってしまうようになった
初めのうちはそれでも数分すると中から出てきて
バナナだけ食べてからのろのろと仕事にいった
さらに日が経つと
葉っぱの中に入っていくのが日課になってしまった
もうずっと葉っぱの中で眠りたいと思い
入っている時間が日に日に長くなった
仕事にも遅刻して怒られることが増えていった
 
眠りたくて眠りたくて仕方がなかった
身体のいろんなところや
心のすみずみから
休もう、休もう
というメッセージがきていた
周囲の勧めもあり
楽しく生きていけるぞ
と思えるようになるまで
おじぎ草の中で眠ることにした
 
たくさん働かせた身体と
いろいろ悩ませた心も
ゆっくり眠りましょう
しゃわしゃわ しゃわしゃわ しゃわ
みなさん
ちょっとの間だけ
さようなら
きっとじきに
元気になります


(c) Mari Awaya
手製本「眠って眠って、春」より
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「ほんのときどき」

布団を取り込む夕暮れのベランダで
日が沈みきるほんの少し前の学校の屋上で
果てしなく長い間の一瞬よりも少しだけ長く
永遠を感じたりする


(c) Mari Awaya
手製本「日々のしずく」より

http://mari.awanomori.net/?eid=35
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詩人。物語も書いてます。
東京を中心に活動しています。詩集に「ぼくはぼっちです」、アンソロジーの詩集にも多数詩が載る。Twitter→@AwayaMari
Instagram→awa_mari39

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